ポッドキャストの音量をそろえる方法|-16 LUFSとゲストの声が小さい問題
「自分の声は普通なのにゲストだけ小さい」「回によって音量がバラバラ」を直す手順。ピークではなくラウドネス(LUFS)でそろえること、配信先が想定する-16 LUFSという目安、対談で話者ごとに音量差が残る理由と対処までまとめました。
収録は終わった。編集も終わった。でも聴き返すと——自分の声は普通なのに、ゲストの声だけ小さい。 あるいは、前回のエピソードと今回で音量が違う。
音量の問題は、内容がどれだけ良くても最後まで聴かれない理由になります。 リスナーは移動中や作業中に聴いていることが多く、聞き取れなければ音量を上げるのではなく止めるからです。
この記事では、音量をそろえるとは実際に何をすることなのかを整理します。
「音量を上げる」では直らない理由
多くの編集ソフトに「ノーマライズ(正規化)」という機能があります。 ただしこれには2種類あって、混同すると音量問題は直りません。
ピークノーマライズは、音声の中でいちばん大きい瞬間を基準にして、 全体を持ち上げる方式です。ここに落とし穴があります。 一度だけ机を叩いた音や、笑い声が一瞬だけ大きく入っていると、 その一瞬が基準になってしまい、肝心の話し声は小さいままになります。
ラウドネスノーマライズは、瞬間の大きさではなく、 人がどれくらいの大きさに聴こえるかを全体を通して測って合わせる方式です。 ポッドキャストで必要なのはこちらです。
音量が「バラバラ」と感じるとき、直すべきなのはピークではなく、この体感の大きさのほうです。
LUFS という単位と、-16 という目安
体感の大きさを表す単位が LUFS(ラウドネス単位)です。マイナスの値で表され、 0 に近いほど大きくなります。
ポッドキャストでよく目安とされるのが -16 LUFS(ステレオの場合)です。 主要な配信先はいずれも再生時に音量を自動で調整しており、 おおむね -14 〜 -16 LUFS あたりを想定しています。
ここで大事なのは、目標より大きく作っても得をしないということです。 配信先で下げられるだけで、しかも無理に持ち上げた分の音の潰れは残ります。 逆に小さすぎると、持ち上げられたときに一緒にノイズも上がります。 目安に合わせるのがいちばん素直です。
なお、正確な数字はプラットフォームごとに変わることがあります。 まずは -16 LUFS にそろえておけば、どこに出しても大きく外れません。
クリップ(音割れ)を防ぐ
音量を上げると、波形の上下が振り切れて音が割れることがあります。これがクリップです。 一度割れた音は後から直せません。
ラウドネスを合わせるときは、上限(ピーク)に少し余裕を残すのが定石です。 一般には -1dB 程度を天井にしておきます。 ラウドネスで測って合わせつつ、天井は超えさせない——この2つを同時にやる必要があります。
対談で「片方だけ小さい」が残るのはなぜか
ここが多くの人の実際の悩みです。 全体をラウドネスでそろえても、ゲストだけ小さいまま、ということが起きます。
理由は単純で、全体を通したラウドネス測定は、誰が話しているかを区別しないからです。 2人の平均が目標に合っていれば、測定上は「合っている」ことになります。 その中身が「ホスト大きめ・ゲスト小さめ」でも、数字は正解を返してしまいます。
リモート収録では特に起きやすくなります。マイクも部屋も入力設定も違うからです。 録り直せるなら録り直すのが最善ですが、終わってしまった収録には使えません。
後からできる対処は、話者ごとに測って、それぞれを合わせてから全体を整えることです。 順番が重要で、話者間をそろえるのが先、全体のラウドネス調整が後になります。 逆にすると、全体を合わせた時点で話者間の差はそのまま固定されてしまいます。
そろえる方向は、小さいほうを大きいほうに合わせるほうが安全です。 大きいほうを削ると、そのあと全体を目標まで持ち上げる幅が増え、 結果としてノイズも一緒に持ち上がります。
また、話者の判別が一部間違っていた場合に備えて、 持ち上げ幅には上限を設けておくべきです。ほとんど無音の区間が 「小さい話者」と誤って判定されると、際限なく増幅されてしまうためです。
手順のまとめ
- 不要な部分(言い間違い・長い沈黙・フィラー)を先に削る
- 対談なら、話者ごとに音量をそろえる
- 全体を -16 LUFS を目安にラウドネスで合わせる
- ピークの天井(-1dB 程度)を超えていないか確認する
- 書き出す前に、イヤホンと(できれば)スマホのスピーカーの両方で聴く
順番を守るだけで結果がかなり変わります。特に 2 と 3 を逆にしないこと。
削る作業そのものの流れは「ポッドキャスト編集のやり方」に、 言いよどみの扱いは「「えー」「あの」を消す」にまとめています。
Hanasu ではどうなっているか
Hanasu の「音量をそろえる」は、ピークではなくラウドネスで測って -16 LUFS を目標に合わせ、同時にピークの天井(-1dB)を超えないようにします。 処理は端末内で完結します。音声をどこかに送る必要はありません。
対談モードで話者を判別している場合は、 全体のラウドネス調整の前に、話者ごとの音量差を先にそろえます。 測るのは各話者が実際に話している区間だけで、いちばん大きい話者に合わせる方向(下げない方向)、 持ち上げ幅には上限を設けてあります。実際にそろえた場合は、 書き出しの状態表示に「話者ごとの音量差もそろえました」と出ます。
話者ラベルが1人分しかないプロジェクトでは、この処理は動かず、 これまでどおり全体のラウドネス調整だけが走ります。
プランは、「音量をそろえる」が Standard 以上、「対談モード(話者の判別)」が Pro です。 話者ごとの音量そろえは両方を使うため、Pro での動作になります。
よくある質問
Q. ピークノーマライズとラウドネスノーマライズ、どちらを使えばいいですか? ポッドキャストならラウドネスです。ピークノーマライズは一瞬の大きな音に基準を持っていかれるため、 話し声の聴こえやすさは改善しないことが多くあります。
Q. -16 LUFS でないといけませんか? 必須の規格ではなく目安です。配信先は再生時に音量を調整するため、 おおむね -14 〜 -16 LUFS に収まっていれば大きな問題にはなりません。 迷うなら -16 LUFS にしておくのが無難です。
Q. 収録が終わってしまってから、ゲストの音量だけ上げられますか? 上げられます。話者ごとに音量を測ってそれぞれ合わせる方法があります。 ただし、元の音が小さいほど持ち上げたときにノイズも目立つため、 次回以降は収録時の入力レベルを合わせておくほうが結果は良くなります。
Q. 音量を大きくすればするほど聴きやすいですか? いいえ。配信先で下げられるだけです。無理に持ち上げると音が潰れ、 その潰れは下げられても元に戻りません。目安に合わせるのが最善です。
Q. 毎回のエピソードで音量をそろえる必要はありますか? あります。収録環境やマイク位置は毎回わずかに変わるため、 エピソードごとに調整しておくと、シリーズを通して聴いたときの印象が安定します。
Hanasu は、削る・そろえる・書き出すまでを端末内で完結させる音声編集ツールです。 ここで説明した工程を自動で行う機能については「音量そろえ(ラウドネス正規化)」、 編集にかかる時間の考え方は「編集時間を短くする」、 ご案内は待機リストへ。